R.A.D.とは?


R.A.D.とは、英国で発祥したバレエの教授法(メソッド)、そしてそれを考案した組織の名称です。
バレエと一口に言っても、様々な流派や教授法が存在しており、中でもこの二つは世界的にも有名な教授法です。

ちなみに日本ではワガノワメソッドを教えるお教室が圧倒的に多いです。


それぞれの教授法ではバレエのポジションの名称や基礎となるレッスンに組み込まれる動きに多少の違いがあります。
また、指導方法や身体の使い方についての考え方も異なる部分があります。


ここではバレエの代表的な指導法とされているワガノワメソッドの説明、そしてそれとの対比を交えつつR.A.D.方式のメソッドについて説明します。

 


ワガノワとR.A.D.

◆ワガノワメソッド◆
まず、クラシックバレエの教授法として最も有名な、ワガノワメソッド(以下、『ワガノワ』)について説明していきます。


この教授法が確立されていった過程には、『骨格や関節など元々身体の条件が良い子供』を選定し教え、成功していったという背景があります。

元々人種的に美しいスタイルを持っているロシア人の中でも、特に条件の合う子供たちが選ばれ作り上げられていった教授法なのです。


現在でもロシアの国立のバレエ学校では、試験内容に関節の可動域や筋肉の条件、さらには一族の遺伝による太りやすさまで、様々な潜在的条件を見る項目が組み込まれています。

では身体の条件が合わなければ、ワガノワのレッスンを続けていてもプロになれないのか?というとそんな事はありません。きちんとストレッチをすれば関節の可動域は広がりますし、正しいダイエットや筋力トレーニング等の努力で補える事はたくさんあります。
実際に、身体の条件が完璧でなくともプリマやソリストとして活躍するワガノワのダンサーは沢山います。


ただ、ワガノワは元々このように身体の条件の良い子供のために作られた教授法であるため、条件の合わない子は無理に可動域以上に関節を広げたり、骨の成長を待たず負荷を加えてしまったりしてしまい、将来的に骨がゆがんでしまったり、怪我をしてしまう危険性があるのです。
そこで考え出されたのが次に説明するR.A.D.の教授法です。

 


◆R.A.D.の教授法と考え方◆
ロイヤルアカデミー・オブ・ダンス(R.A.D.)はバレエの教授と指導に関する世界で唯一の組織です。

 

R.A.D.のシラバス(※1)は、1920年にバレエ教育があまり発達していなかったイギリスにおいて、ロシア派、イタリア派、フランス派など当時のヨーロッパで活躍していたダンサー達により、イギリスのバレエ教育を改革するために作られました。

それまでのバレエ教育を見直し、「一人ひとりの身体の条件や成長に合わせた指導」を基本とし考え出された教授法です。


10段階に分けられたレベル毎の試験制度を導入することによって、シラバスの理解度や技術の上達を明確に把握することが可能です。
そしてこのR.A.D.を教えるためには教師資格の取得コースやCBTSといった特別なカリキュラムを受講し、教師資格を取る必要があります。資格を持っていなければ教室にR.A.D.の名前は出してはいけません。
そのため日本ではワガノワに比べて「R.A.D.で教えています」と看板を掲げているお教室はまだまだ少ないのが現状です。


このR.A.D.の試験制度では、それぞれのレベルに年齢などの受験資格も定められており、成長期前のお子さんの柔らかい骨や繊細な身体にも無理をさせることなくバレエ技術を指導することができます。

また、子供の場合はこのように骨や筋肉の成長度合いに合わせての指導を行いますが、大人の身体は既に骨が成長しきっていますので、それぞれの身体の特徴に合わせた無理のない範囲の身体の動かし方でレッスンを行っていきます。

このようにR.A.D.では身体を壊さない事を第一に考えレッスンを行いますが、安全だけを考え全く危険なことをしない、というわけではありません。
やはりバレエにおいて跳んだり回ったりというダイナミックな動きや、トウシューズ(※2)を使っての高度なパフォーマンス等はとても重要な要素です。

また美しいターンアウト(※3)や、高く上がった脚もプロのバレリーナを目指す上では欠かせないものです。

 

そのため世良バレエ教室のレッスンでは「自分の限界のちょっと先」を毎回のレッスンで生徒たちに要求しています。
そうして少しずつ自分の身体を知りながら限界の上限を上げていくことにより、より確実な技術を身に着ける事ができるのです。

従来のバレエ指導のように、鏡の前に立った先生の見よう見まねで学ぶバレエレッスンではなく、一人ひとりの生徒としっかりと向き合い、理解することによりこのような指導が可能になるのです。

◆メソッドの違いとお教室選び◆

 

さて、ここまでR.A.D.について、ワガノワの特徴と比較し、そして最後は世良バレエ教室の独自の指導法にも触れながら説明してきましたが、この二つのメソッドやその他の沢山あるバレエ教授法のどれを選んでも、それぞれに良いところ、また欠点となるところがあるかと思います。

その欠点を補い、どうやって生徒さんの技術を伸ばして行くかはやはり指導する先生の技量や知識量などに大きく左右されます。


まずは気になるお教室に見学に行かれたり、ホームページや発表会での雰囲気を感じながら、お教室選びをしてみてください。そんな中で、参考程度にここで書いたメソッドの違いの知識もお役に立てばと思います。


世良バレエ教室では上記のような特徴の他にも様々な理由からR.A.D.を取り入れておりますが、現在実際にR.A.D.のレッスンが受けられるのは池袋では土曜日、つくばでは水曜日のみとなっており、それ以外の曜日ではワガノワ式で学んできた先生によるクラスも受けることができます。
是非それぞれの違いも楽しみながら、両方のレッスンを受けてみることをおすすめします。


※1.シラバス…RADおいてのシラバスとは、各レベルごとに成長過程や技術を考慮し決められた、 検定試験用の規定プログラムを意味する。
※2.トウシューズ…バレエで用いられる特殊な靴。浮遊感などを演出するために爪先で立てるように特別に加工された靴。
※3.ターンアウト…股関節から足先までの筋肉を使い、両足を開いた形のポーズ、またはそうしようとする動きです。


RAD試験について

RADでは、先に説明したように、レベル別に分けられたシラバスに沿った試験制度が取り入れられています。

 

毎年5月の連休頃から6月下旬までの約2ヶ月間に行われており、その際には英国の本部より派遣された試験官が全国のRAD登録教師の教室を訪問し実施されます。

試験の実施は各教室の教師の意向に委ねられますが、当教室では毎年の実施しております。

 

この試験の結果は生徒さんだけを評価するものではなく、教師達の成績等級も慎重に測定され、RADのロンドン本部に記録されています。そのため教師達にも日々の勉強や指導方法の向上が常に求められ、質のよい指導・教授が保証されています。